研究課題
基盤研究(C)
Pathogenesis related(PR)遺伝子は病原体が植物に感染したとき,植物防御のひとつとして発現される遺伝子である。一方,土壌細菌アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)は植物に感染して根頭癌腫病を誘発する。その腫瘍遺伝子のひとつに6bがある。私たちは日本産アグロバクテリウムの6b遺伝子(AK-6b)が植物の二次代謝物であるフェニルプロパノイドの蓄積を高めていることを示した。フェニルプロパノイドは抗菌物質であり、PR1aも抗菌性を有しておりまた相互の遺伝子発現も一部オーバーラップする。そこでAK-6b遺伝子がPR1a遺伝子発現に及ぼす影響を調べた。CaMV35S、自身、デキサメタゾン誘発性など種々のプロモーターに制御されたAK-6bを用い、さまざまなレベルで発現するトランスジェニックタバコを作出した。この組織を植物ホルモンを含む(あるいは含まない)MS培地で育成した後、RNAを抽出し、PR1aをプローブとしてノーザンハイブリダイゼーションを行なった。PR1 mRNA蓄積量とAK-6b mRNA蓄積量には目立った相関は認められなかった。そこで、組織をホルモンフリー培地で培養した後、オーキシンを含む培地へ移し、0日〜6日までのタイムコースを調べたところ、AK-6b遺伝子を発現している組織では野生型タバコに比べPR1 mRNAレベルは顕著に低かった。6日目以降は同じレベルとなった。従って、オーキシン存在下ではAK-6b遺伝子はPR1 mRNAの発現誘発を遅らせていることが分かった。サリチル酸投与ではいずれの場合も誘発が見られた。また、T7.TagおよびHis.Tagされたクローンを用いてAK-6b蛋白の精製を行い、ほぼ均一のレベルまで精製することができた。
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