研究概要 |
Tomato yellow leaf curl virus(TYLCV)のトマトへの被害を軽減することを目的として、その媒介昆虫であるタバココナジラミ(Bemicia argentifori)内部共生菌由来GroELタンパク質の遺伝子を植物に組み込むという新しい作物保護の方法について検討を行っている。タバココナジラミによるtomato yellow leaf curl virus(TYLCV)のトマトへの感染率がGroELに対する抗血清をタバココナジラミに投与することにより低下したことから、GroELがTYLCVのタバココナジラミによる伝搬に重要な役割を果たしているものと思われる。また、GroELはウイルス外被タンパク質サブユニットと高い結合能を持っているので、ウイルス粒子と複合体を形成し、昆虫リンパ節通過時にウイルス粒子を分解することなく唾液腺への移行を行う役割を持つと考えられる。次に、我々はTYLCVの媒介昆虫であるBemicia argentiforiからPCRを用いてGroELタンパク質遺伝子の全長のクローニングと全塩基配列の決定を試みた。その結果GroEL遺伝子は1668塩基からなり、E.coli, M.persicae, P.aeruginosa, N.gonorrhoeae, A.tumefaciense由来のGroELと塩基配列の比較を行ったところ、非常に高い相同性(95%以上)がみられた。また、3'末端にはBemicia argentifori由来のGroELに特異的な12塩基なる配列がみられた。
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