タバココナジラミ(Bemisia tabaci)内部共生菌由来のGroELタンパク質はジェミニウイルス外被タンパク質サブユニットと高い結合能をもっているので、ウイルス粒子はGroELタンパク質と複合体を形成することによって、昆虫リンパ節通過時にウイルス粒子が崩壊されることなく唾液腺へ移行するものと推定される。アジア諸国でトマト栽培に、Tomato leaf curl virtus(ToLCV)による被害が多発している。そこで、ToLCVによるトマトへの被害を軽減する目的で、その媒介昆虫であるタバココナジラミ内部共生菌由来GroELタンパク質遺伝子を植物に導入するという新しい作物保護の方法について研究を行い、次のような結果を得た。(1)ジェミニウイルスの媒介昆虫である静岡産Bemisia argentiforiからPCRを用いてGroEl遺伝子の全長のクローニングと全塩基配列を決定した。その結果、GroEL遺伝子は1668塩基からなり、イスラエル産B.tabaci B-biotypepe由来のGroEL遺伝子の塩基配列と高い相同性(99%)を示した。(2)ToLCVはトマトに機械接種できないので、agro-inoculationを行うための感染性クローンの構築を試み成功した。(3)GroEL遺伝子の全長(1688塩基)をバイナリーベクター(pBI121)に連結し、タバコに形質転換を行い、形質転換タバコを得ることができた。現在、形質転換タバコにおけるGroEL遺伝子の発現並びにToLCVに対する応答について研究を進めている。
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