ある特定の微生物の消長と土壌微生物多様性との関係を明らかにする目的で、トマト青枯病系における青枯病原細菌の消長と蛍光性Pseudomonas属細菌の数および多様性との関連性について検討した。母体となる土壌として、滅菌した土壌に少量の生土を混合し、これに各種有機物を加えた6種の土壌を調整した。この土壌に病原細菌を接種しトマトを栽培した際のトマトの発病性、およびトマト根面ならびに根内における蛍光性Pseudomonas属細菌の数と多様性(REP-PCR解析)の関連について検討した。 その結果、3土壌においてトマトが発病し、このうち2土壌で生育不良の兆候が見られた。蛍光性Pseudomonas属細菌の数は、発病土壌において病原菌接種後に増加した。一方、非発病土壌では病原菌接種後も蛍光性Pseudomonas属細菌数の大きな増減はなかった。また、REP-PCRによる蛍光性Pseudomonas属細菌集団の多様性解析の結果、発病土壌に存在する蛍光性Pseudomonas属細菌集団よりも非発病土壌に存在する蛍光性Pseudomonas属細菌集団の方がより多様な集団として存在していた。 土壌環境が変動した際の微生物集団の応答性と病原細菌の消長との関連を明らかにする目的で、根面細菌集団の物質代謝能の変化をBIOLOGを用いて測定し、現在、分析試料数を増やし解析を継続している。
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