研究概要 |
16,000クローンからなるアクティペーションタギングラインから、1次スクリーニングを通して300μM Al処理に対して耐性を示すクローン160個を得た。それぞれを土に移植して生育させ、種子を得た。これらを用いて2次スクリーニングでは、0、300、500μM Al処理に対する感受性試験を行なった。これらの中から約60個体がコントロールに比べて、耐性になっていることがわかった。さらに3次スクリーニングにおいて、16クローンに絞り込んだ。 これらの株では、35Sプロモーターのエンハンサー領域が染色体上に挿入されているので、その挿入部位の上流か下流に存在する遺伝子の発現量を上昇させることでAl耐性になると思われ、新規の耐性遺伝子の単離が期待される。これらの株のいくつかについて、タグの挿入位置を確認するために、まずプラスミドレスキュー法での挿入部位付近のDNAの回収を試みたが、うまく行かなかった。そこで最近注目され始めたTAIL-PCR法での回収を試み、いくつかの挿入部位と思われるPCR断片を得ることができた。これらについては、この断片を用いて塩基配列を決定中であり、タグが挿入された位置がほぼ確定されたものもある。また、サザンハイブリ法で挿入数の推定も行なっている。 ただ、今回の作業の過程で新たに次の点が判明した。1)タグが染色体上の異なる位置で2ヶ所以上挿入されたものがかなり多い。2)挿入される時に何らかの組み換えを起こしていると思われるものがあり、挿入位置の特定に至らないものもある。このような問題はTAIL-PCR法における人為的な要因で起こった可能性もあるが、むしろ購入したタグラインの方に問題があったものと思われる(タグライン構築時に組み換え体が生じた可能性)。現在、挿入位置の確定を早急に進めている。
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