研究概要 |
ササゲ及びブルーム型台木カボチャ(新土佐2号)を用いて以下の実験を行った. Si施用あるいは無施用で前栽培したのち,Si存在下あるいは非存在下で過剰のMnを処理する計4処理区((+/+), (+/-), (-/+), (-/-))を設けた.ササゲの場合,各処理区のMn過剰症発生程度(及びアポプラスト溶液のPOD活性)とアポプラスト内Si濃度との間に非常に高い相関性が認められたのに対し,Mn濃度との間には有意な相関関係が認められなかった.このことから,Siはササゲ葉アポプラスト内のMn濃度を低下させる効果があるものの,アポプラスト内の遊離SiがMn過剰症軽減に何らかの役割を果たしていると考えられた. 一方,カボチャの場合,各処理区のMn過剰症発生程度(及びアポプラスト溶液のPOD活性)とアポプラスト内Mn濃度との間に正の相関が認められた,また,Si施用によって,(+/+), (-/+)区のアポプラスト内Mn濃度は,(-/-)区の40%以下に低下した.さらに,これらの区では,細胞壁画分からDTPAによって抽出されるMn量が,(-/-)区よりも有意に増加した.したがって,カボチャの場合,SiのMn過剰症軽減効果にはアポプラスト内Mn濃度の低下が大きく関与しており,細胞壁に吸着されて存在するMn量の増加がその因と推察された. 以上の内容の一部は,国際植物栄養科学会議(2001年)で発表した. 今後は,以下の点について研究を進める予定である. (1)ササゲ葉アポプラスト溶液中の低分子有機酸やフェノール性物質等の分析を通じてアポプラスト液内でのSiの役割を明確にする. (2)Siが,カボチャ葉細胞壁のMn結合容量に及ぼす影響と.そのメカニズムを検討する. (3)根圏/根のアポプラスト環境でのSiの役割について明らかにする.
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