大阪府立大学付属農場の灰色低地畑土壌にシマジン(CAT)を0.1gm^<-2>ずつ3ヵ月ごとに1年間散布して得たCAT処理土壌でトウモロコシ、およびダイズを栽培した。各植物の根を乳鉢で磨砕して得た組織破砕液よりCAT分解菌を分離した。分離には無機塩培地にCATと、グルコースおよび酵母エキスを添加した培地を使用した。これらの菌株は16S rDNA部分塩基配列と生理的諸性質から、Rhizobium sp.、Mesorhizobium sp.、Bradyhizobium japonicum、およびAgrobacterium radiobacterに属すると推定された。分離菌の除草剤分解能の確認は、各除草剤を唯一の窒素源とした培地で培養したのち、培養液中の除草剤量の減少量をHPLCにより定量して行った。 ダイズ(品種;エンレイ)の種子をEMS処理して得られた根粒超着性変異体(En6500)を用いてCAT分解根粒菌の接種効果を調べた。CAT分解活性の高い根粒菌を接種して根粒を形成したEn6500は、根粒菌を接種せずにKNO_3を窒素源として生育したものに比べCAT耐性が増大した。また、水耕培養液中のCAT量は根粒菌の接種によって大きく減少した。 トウモロコシ根より分離したシマジ分解菌株Agrobacterium radiobacterには窒素固定活性は認められず、培地中のシマジンを唯一の窒素源として生育した。バーミキュライト土壌で栽培したトウモロコシにこれらのシマジン分解菌を接種したのちシマジンを1植物体あたり0.2mg投与したところ、7日後には培養土のシマジン残存量はシマジン分解菌非接種区の土壌の60〜80%まで減少した。
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