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2002 年度 実績報告書

サイトカインによる転写因子NF-κB活性化におけるシグナル伝達機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13660083
研究機関東京工業大学

研究代表者

片岡 孝夫  東京工業大学, 生物実験センター, 助教授 (20242307)

キーワードE-73 / シクロヘキシミド / NF-κB / アポトーシス / ミトコンドリア / JNK / ペニシリン酸 / caspase-8
研究概要

アセトキシシクロヘキシミド(E-73)は、ヒト肺がん腫A549細胞において、TNFによる転写因子NF-κBの活性化を阻害する。一方、E-73はHL-60やJurkat細胞のような血球系細胞に選択的にアポトーシスを誘導し、そのアポトーシス誘導活性はミトコンドリアからのシトクロムcの放出によるcaspase-9とそれに続くcaspase-3の活性化によることが明らかとなった。E-73は、Jurkat細胞において、シクロヘキシミドに比較して、MAPキナーゼスーパーファミリーであるErk、JNK、p38の活性化を強く誘導した。E-73によるアポトーシス誘導やシトクロムcの放出は、MAPキナーゼキナーゼ(MEK)阻害剤PD98059やp38MAPキナーゼ阻害剤SB203580では阻害されず、JNK経路を阻害するクルクミンやSP600125によって抑制された。したがって、E-73は、JNK経路の活性化によってミトコンドリアからシトクロムcを放出させ、caspaseカスケードを活性化することが示唆された。
マイコトキシンの一つであるペニシリン酸はFasリガンド(FasL)によるアポトーシスを阻害する。ペニシリン酸は活性化型caspase-3、caspase-8、caspase-9の酵素活性を同程度で阻害したが、スタウロスポリン処理細胞におけるcaspase-9やcaspase-3の活性化はあまり阻害せず、FasLよるcaspase-8の活性化を強く阻害した。グルタチオンやシステインはcaspase-8に対するペニシリン酸の阻害効果を抑制し、ペニシリン酸はcaspase-8の活性中心のシステイン残基に直接結合することが観察された。以上の結果から、ペニシリン酸はcaspase-8の自己限定分解を阻害することによってFasLによるアポトーシスを阻害することが明らかとなった。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Susanne M.A.Lens: "The caspase 8 inhibitor c-FLIP_L modulates T-cell receptor-induced proliferation but not activation-induced cell death of lymphocytes"Molecular and Cellular Biology. 22. 5419-5433 (2002)

  • [文献書誌] Izuru Ando: "Safflower polysaccharides activate the transcription factor NF-κB via Toll-like receptor 4 and induce cytokine production by macrophages"International Immunopharmacology. 2. 1155-1162 (2002)

  • [文献書誌] 片岡 孝夫: "T細胞による細胞殺傷機能発現の制御機構に関する研究"日本農芸化学会誌. 76. 922-929 (2002)

  • [文献書誌] Masashige Bando: "The mycotoxin penicillic acid inhibits Fas ligand-induced apoptosis by blocking self-processing of caspase-8 in death-inducing signaling complex"Journal of Biological Chemistry. 278. 5786-5793 (2003)

  • [文献書誌] Yasunobu Miyake: "Epoxycyclohexenone inhibits Fas-mediated apoptosis by blocking activation of pro-caspase-8 in the death-inducing signaling complex"Journal of Biological Chemistry. 11213-11220 (2003)

  • [文献書誌] Takao Kataoka: "Molecular Anatomy of Cellular Systems"Elsevier Science B.V.. 11 (2002)

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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