研究課題
ヒトCYP24とラットCYP24が触媒する種々のビタミンD_3誘導体に対する反応を比較したところ、反応特異性において顕著な差が認められた。ビタミンD_3を医薬品として開発する上で、ヒト由来酵素を用いてヒト体内における代謝を予測することの重要性を示した。(1)ヘキサフルオロ体の代謝【triple bond】【triple bond】昨年度に引き続き、ヒトCYP24特異的に見られた代謝物の同定を試みたところ、25位の水酸基が消失し、側差内にエーテル結合を有する化合物であることが示唆された。この代謝物はラジカル再配列を伴う反応により生じたと考えられ、VDRへの結合能はきわめて低く、この反応がヘキサフルオロ体の不活化に重要な反応であることがわかった。(2)22-オキサカルシトリオール(OCT)の代謝【triple bond】【triple bond】OCTは活性型ビタミンD_3(1α,25(OH)_2D_3)の22位の炭素を酸素で置換したもので、現在、副甲状腺機能亢進症等の治療薬として用いられている。ヒトCYP24とラットCYP24の代謝を比較したところ、顕著な差が見られた。前者では1段階目の反応でO-22-C-23結合が切断され、VDRへの結合能が失われるのに対し、後者では24位水酸化に始まり3段階の反応でO-22-C-23結合が切断された。(3)1α,25(OH)_2D_320-ei体の代謝【triple bond】【triple bond】20-epi体は天然型1α,25(OH)_2D_3よりもVDR結合能、細胞分化能が高く、逆にカルシウム作用が低いことで、医薬品として期待されている化合物である。ヒトCYP24での代謝およびラットCYP24での代謝を比較したところ、2段階目までは同様であったが3段階で顕著な差が見られた。前者の場合、24-oxo-23(OH)体が生じ、後者ではC-24-C-25結合が切断され24位カルボン酸体が生じた。24-oxo-23(OH)体はVDR結合能を有するが、24位カルボン酸体はVDRに結合できない。
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