研究概要 |
研究計画に従って、ウイルスCVK2の2種の溶菌酵素AL-1,AL-2の遺伝子解析と酵素学的特徴付けを行った。AL-1は、349アミノ酸からなる約38kDのタンパク質であり、2つの構造ドメインから成っていた。GST-融合タンパク質として精製した酵素を用いてクロレラの細胞壁分解を確認した。この酵素はC.vulgarisグループの幅広いクロレラ株に有効に作用した。薄層クロマトグラフィーを用いて、酵素分解産物を分離しその性質を明らかにしている。これまでのところ酸性糖類が主な生産物であり、AL-1は新規酵素である。AL-2については、コスミドクローン上の活性領域を限定し、ほぼ位置を特定した。この遺伝子はvChta-1キトサナーゼと同一の可能性がある。近傍のもう一つの遺伝子の可能性も検討中である。GST-融合vChta-1も幅広い溶菌活性を有しており、AL-1同様C.vulgarisグループ等のクロレラ株に有効に作用した。さらに、これらの解析途上、新たなウイルスキチナーゼ遺伝子を発見した。この遺伝子は他の多糖分解酵素遺伝子と異なり、感染サイクルのごく初期5〜10分で発現することが明らかとなった。その機能、酵素活性に大きな興味が持たれる。ウイルス溶菌液を用いて種々の生物に対する生育阻害活性を調べたところ極めて興味深い結果が得られた。当初の予想どおり、これらウイルス酵素は各種方面への応用が期待できる。
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