研究課題/領域番号 |
13660098
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
西村 勁一郎 大阪府立大学, 先端科学研究所, 教授 (70026558)
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研究分担者 |
多田 俊治 大阪府立大学, 先端科学研究所, 助教授 (70275288)
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キーワード | ラン藻 / FB Pace / SB Pace / 結晶化 / X線構造解析 / 異常分散 / 変異体 / 放射光 |
研究概要 |
Seの異常分散効果を利用して位相を決定し、得られた電子密度図は溶媒平滑化法を適用して改良した。しかし、位相の精度は不十分であり分子構造の構築および精密化を進めることはできなかった。その要因として、データ数の不足とSe-Metの数の相対的な多さにあるものと考えられた(サブユニットあたり14個のSe-Metを持ち、四量体が非対称単位を形成することから、計56個のSeサイトを決定しなければならない)。そこで、Metの数を減じた2種の変異体の調製を行った。MetをLeuに置換した変異体の作製は、変異導入プライマーを用いて、野生株の発現ベクターを鋳型としたPCRにより行った。また、N末端の約50残基のdeletionは、開始コドンを導入した5'-プライマーの合成と終止コドン下流の3'-プライマーを用いてPCRを行い、PCR産物を発現ベクターへの導入することによって行った。現在、変異体酵素の発現精製中である。また、重原子同型置換法による位相の決定を目指して、重原子誘導体結晶の調製条件の検討を行った。X線回折実験および反射データの収集は、実験室系の回折計(R-AXIS IIc)および大型放射光施設(PF、Spring-8)にて行った。その結果、AuおよびHg誘導体結晶で重原子サイトを見出すことができたが、位相の決定には至らなかった。大半の重原子誘導体結晶においてネイティブ結晶との同形性が崩れるという結果になり、その要因は本酵素が4量体構造を持ち、その高次構造が重原子の結合によって変化することにあるものと推定した。そこで、現在、Se-Met結晶でredundancyを上げたデータの収集、Se-Metの数を減じた変異体での異常分散データの収集、および結晶性の良好なSe-Met結晶を用いて重原子を導入する方法についての検討を進めている。
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