研究概要 |
植物オクタデカノイドシグナル伝達系の解明を目的として、合成化学的なアプローチにより各種プローブの中心的母核である植物毒素コロナチンの大量合成を検討した。従来開発したコロナファシン酸の不斉合成法を、光学活性ランタンリンクドビナフトールを不斉触媒として用いる方法へ代えることにより大量合成へと展開した。現在までの検討で、1〜2グラム程度のコロナチンを合成できる目処がついた。さらなる、スケールアップをめざして反応条件を検討中である。プローブへの誘導化においては、ケトン官能基を還元したアルコール誘導体からエーテル型のもの、およびカルボキシル官能基を足掛かりとしたアミド型のもの、2タイプを検討中である。両タイプとも、スペーサーの長さの調節を行った後、ビオチンの導入をはかり、結合タンパクとの相互作用の解析を容易にする方向で進展中である。プローブ化合物の合成と平行して、植物に対する種々の生理活性試験(オクタデカノイドおよびジャスモノイド活性)を検討中である。 また、植物毒素であるコロナチンのプローブ化とは別途に、植物が本来のもっているオクタデカノイドに相当する抗β-酸化型の新規化合物をデザインし合成研究を行った。その結果、2,3-シクロプロパン型-OPC-アナログ、および3-アセチレン型-OPC-アナログの合成を達成した。両アナログについては、市販のジャスモン酸メチルを原料とし、炭素鎖の調節が容易な合成経路であるため、今後アフィニティークロマトグラフィーへの展開を目指す方向で研究を進展中である。
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