研究概要 |
azadirachtinの合成研究については,今回の計画で最も重要で且つ困難が予想されるC8-C14結合の形成に向けて,各種の2-cyclohexenonc誘導体とcyclopentadiene誘導体とのDiels-Alder反応を試みている段階であるが,いくつかの簡単な系では望むピシクロ環系を含む部分構造を得ている、どのような系でDiels-Alder反応がうまく進行するかを取捨選択し、AB環の方へ炭素鎖を延ばす予定である。トゲシラホシカメムシ(Eysarcoris aeneua)の性フェロモンについては,まずラセミ体の合成を開始した。研究実施計画に示したketend、と二重結合を[2+2]付加環化させる方法によりラセミ体の合成を完成し,フェロモンの推定構造式を確定させることができた。現在印刷中である。この研究では,[2,2]付加還化したビシクロケトンのWolff-Kishner還元の際に,反応条件を選ぶことによりexo-olefinがendo-olefinに同時に異性化し,望む生成物が一挙に得られるという新事実を発見した。現在,光学活性体を得るべく、不斉修飾子について検討中である。ナス科植物ヒヨスの生産するspirovetivane系ファイトアレキシンについては,ジェノフイルとして様々なエノン系離物を用いて検討しているが、現在までのところ,望む骨格が得られていない。今後は,ジェノフィルをさらに活性化すべく,スルホキシド基またはスルホン基を導入して,当初の目的を達成する努力を続ける。既にその基質は調製が完了している。oryzalexin Sについては,キーステップであるDiels-Alder反応の基質の合成を終えた。これら以外にも,シロイチモジヨトウ(Spodoptera exigua)が生産するエリシターであるvolicitinの光学活性体の合成にも成功した、合製品は初めて結晶として得られ,現在印刷中である。
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