有望なサイトカイニン活性物質を開発するために、1-デアザプリンの合成とそれらの生物検定を中心に進めた。 9位の保護基としてTHP基を用いていたが、6-アミノ体をヨード化する際にアミノ体の溶解性が低く、重要な中間体であるヨード体の収率が低下した。幾つかのを補溶媒を試したが、改善されなかった。そのため、アセチルリボシル基に変えて、ヨード化物を得た。ヨード化物と芳香族アセチレンとをカップリングさせ、精製してシロップ状物を得た。さらに脱アセチル化してアセチル基を除き、6-アルキニル-1-デアザプリンリボシドを合成した。芳香族置換基としては、既に合成しているフェニルエチル体を含めて、単環あるいは双環性の化合物4つの化合物を合成した。一方、脂肪族置換基をもつ6-アルキニル-1-デアザプリンリボシドについては、6位側鎖の炭素鎖長を系統的に変化させた。芳香族化合物と同様に、カップリング、脱アセチル除去してリボシドを結晶化し、純粋な状態で5つの化合物を得た。リボシドは相当する遊離塩基に比べて活性が低いことから、6-アルキニル-1デアザプリンをリボシドの酸加水分解によって遊離塩基に導いた。これらの5つの化合物についてヒモゲイトウ試験でサイトカイニン活性を測定した結果、1-デアザプリン誘導体の方がプリンよりも約50倍の活性を持ち、側鎖の炭素数が4〜5個のときに最も活性が強く、短鎖および長鎖は弱いことが明らかになった。また、アルキニル体をメチルメルカプタンで処理すると、容易にアルケニル体に変換する方法を初めて見つけた。この反応は遊離塩基では進まず、9位のイオン化が関与していると思われる。
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