研究概要 |
1.野菜試料中のキノンレダクターゼ(QR)誘導活性の確認 あしたば,みつば,パセリの凍結乾燥粉末を調製し,その80%メタノール抽出物を得た。それぞれの酢酸エチル可溶部を順相シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分画された画分(3種類のn-ヘキサン/酢酸エチル混合液【3:1,1:1,1:3】溶出画分および100%酢酸エチル溶出画分)についてヒト肝由来培養細胞株HepG2におけるキノンレダクターゼ誘導活性を調べた。その結果,あしたばでは,n-ヘキサン/酢酸エチル(1:1)溶出画分,みつばでは同溶出画分と100%酢酸エチル溶出画分,パセリでは3種類のn-ヘキサン/酢酸エチル溶出画分に濃度依存的なQR誘導活性が認められた。 2.活性成分の単離・同定 まず,あしたば抽出物の活性成分の分離を試みた。あしたば凍結乾燥粉末10gから約360mgの抽出物を得た。これをシリカゲルカラム(20×200mm)により,20%n-ヘキサン/酢酸エチル,25%n-ヘキサン/酢酸エチル,50%n-ヘキサン/酢酸エチルの順に各120mLずつ用いて分離を行い,3つの溶出画分を得た。それぞれの成分分析をODS-HPLC(カラム:YMC Pack Polymer C184×150mm;溶離液:0.1%TFA→100%アセトニトリルへのリニアーグラジエント溶出;流速10mL/min;検出260nm)にて行ったところ、活性成分は50%n-ヘキサン/酢酸エチル溶出により得られる第1番目のピークに含まれ,そこから主要7成分が検出された。そのうち,2ないし3成分がQR誘導能を持つことが示唆され,現在,単離同定中である。今後は、同定成分を中心に、QR誘導とDNAの酸化障害の抑制との相関性を肝培養細胞株における8-OH-デオキシグアノシン生成量を指標として検討する予定である。
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