研究概要 |
セリ科野菜の中でもQR誘導活性が高いアシタバから有効成分の単離精製を試みた。アシタバの凍結乾燥物を80%メタノールで抽出後、酢酸エチル可溶部を得た。これをシリカゲルカラムにより分画(ヘキサン/酢酸エチル混合液で溶出)した。このうち、ヒト肝由来培養細胞株Hep G2において有意にQR活性を誘導するヘキサン/酢酸エチル=1:1溶出部について成分検索を行った。ここにはHep G2細胞に対する致死性を有する成分も混在することがわかったので、これらを分離する条件を検討した。その結果、この画分をSeo-pakC18カラムによりアセトニトリル/水混合液で溶出すると、50%アセトニトリル溶出部にQR誘導成分が、また、100%アセトニトリル溶出部に細胞致死性成分が得られた。QR誘導活性成分をC30-逆相HPLCで分析したところ、誘導活性は主に2つの保持時間の極めて接近した成分によることがわかった。次に,QR誘導成分のHPLC/MS分析(カラム:Develosil C30-UG-5、移動相:50%アセトニトリル、流速:0.2mL/min、Cone Vol.30V、Negative mode)を行った結果、活性画分中の主成分は、フラボノールの一種であるルテオリン(M^+286)と推定されるアグリコンを有する分子量646の物質と推察された。一方、細胞致死性成分は、これまで、アシタバの根の成分として報告されているカルコン誘導体、すなわち、4ヒドロキシデリシン[3'(γ,γ-Dimethylallyl)-2',4-dihydroxy-4'-methoxychalcone]であることが強く示唆された。本化合物は、アシタバ以外のミツバ、パセリ、セリなどセリ科野菜に共通して含まれていた。上記QR誘導成分の細胞酸化障害への影響をDNAからの8-OhdG生成量により評価したが、明瞭な抑制効果は見られなかった。この点は測定法も含めて今後とも検討する必要がある。
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