アスコルビン酸(AsA)合成不能のODSラット(雄、6週齢)に、AsA添加(300mg/kg)飼料を与える群(対照群)と、AsA無添加飼料を与える群(欠乏群)をもうけて、14日あるいは17日飼育した。14日では、今までに知られているAsA欠乏の症状は殆ど観察されず、AsA欠乏は非常に軽度であると考えられた。この14日目において、炎症性ケモカインであるcytokine-induced chemoattractant 1(CINC-1)の血中濃度を測定したところ、欠乏群では明らかに上昇が観察され、17日目ではこの上昇が強められた。。12日目においても、血中CINC-1濃度は欠乏群で上昇の兆候が観察された。この現象は、様々な炎症誘発時に見られるものと一致しており、今までに見出しているAsA欠乏の同時期の血中インターロイキン-6濃度の上昇や肝臓での急性期タンパク質の発現上昇とともに、AsA欠乏が欠乏の早期から炎症様応答を引き起こすことが明らかとなった。 さらに、この血中CINC-1濃度の上昇の機構を明らかにするために、CINC-1mRNAの各種臓器での発現レベルを調べたところ、このmRNAは肝臓、肺、副腎、心臓で明確に検出された。そして、肝臓のCINC-1mRNAレベルは、対照群に比べて欠乏群では約3倍に上昇していた。このことにより、肝臓でのCINC-1遺伝子の発現上昇が血中CINC-1濃度の上昇を引き起こしていることが示唆され、肝臓はAsA欠乏の主要な標的臓器であると考えられた 今後、AsA欠乏がどのようにして、肝臓でのCINC-1遺伝子や急性期タンパク質遺伝子の発現を上昇させるかについて検討していく。
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