脂質過酸化反応由来の内因性親電子活性種であり、様々な生理機能が明らかにされているアルデヒド類の中でも、リノール酸コレステロール酸化物として知られる9-オキソノナノイルコレステロール(9-ONC)について、タンパク質の化学修飾機構を詳細に解析するとともに、低分子アミノ酸誘導体を用いたモデル実験を構築し、9-ONC修飾アミノ酸の詳細な化学構造解析を行い、さらに、特異的モノクローナル抗体作製による酸化リノール酸コレステロールの疾病への関与を実証した。タンパク質(血清アルブミン)との反応により、9-ONCはリジンを主な標的分子として付加体を生成することが明らかになった。また、9-ONCとリジン誘導体(N-アセチルリジン)との反応を行い、フォトダイオードアレイUV-VIS検出器を備えた高速液体クロマトグラフィなどを用い、生成部(9-ONC修飾アミノ酸)を単離した。9-ONC-アミノ酸付加体について、600MHz核磁気共鳴装置(NMR)(現有設備)および高速液体クロマトグラフィー-質量分析装置(LC-MS)などを用いた化学構造解析を行い、主生成物はリジンのアミノ基に対し、9-ONCがシッフ塩基により結合したものであることが明らかとなった。さらに、キャリアタンパク質として9-ONC処理したkeyhole limpet hemocyaninを用い、9-ONC-リジン付加体を認識する特異的モノクローナル抗体の作製を行った。さらに、この抗体の詳細な特異性解析を行うと同時に、酸化低密度リポタンパク質やヒト動脈硬化巣における検出などに成功した。
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