研究概要 |
1.ヒトアポリポプロテインB-100(アポB-100)に対する抗血清を作製し、これを用いたヒト肝臓ガン由来の培養細胞HepG2のアポB-100の定量法を確立した。これにより化学発光法で2〜80ngの検出範囲でのアポB-100の定量が可能となった。 2.ヒトER-60のcDNAを用いて、活性基システイン残基がアラニンに換わる変異を導入した発現プラスミドを構築し、HepG2に導入した。形質転換した細胞をハイグロマイシン耐性によりスクリーニングし、約100個のクローン細胞を得た。それらの細胞の中から、テトラサイクリンにより変異ER-60を誘導発現する細胞を、ウェスタンブロッティングにより選択するために、野生型と変異型ER-60の分離検出法を検討した。その結果、システイン残基のヨードアセト酢酸処理後の2次元ポリアクリルアミド電気泳動により、システイン残基数に依存した移動度の差による分離検出法を確立した。これにより、変異ER-60を大量に発現するクローン細胞の選別に成功した。 3.トリプシン、V8プロテアーゼ及びキモトリプシンによるER-60の限定分解によりER-60のドメイン構造がa, b, b', a'より構成されていることを明らかにした。各ドメインタンパク質の大腸菌での発現プラスミドを構築し、チオール還元剤処理で切断可能なインテインとの融合タンパク質として発現させることに成功した。発現後、純化したドメインタンパク質と小胞体分子シャペロン、BiP, calreticulin, calnexinのルーメンドメインとの分子間相互作用を、BIACoreを用いて解析した。その結果、ER-60はこれらの分子シャペロンとの相互作用に分子の広い領域を用いて結合することが明らかとなった。
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