研究概要 |
心疾患と脳血管障害の発症防止のために、高脂血症の治療法と予防法の確立が切望されている。特に、肝臓から血液へのVLDL分泌の抑制に基づく予防法は、高VLDL血症と高LDL血症の両方に有効な方策であると考えられる。このような考え方のもとに、VLDLの構成タンパク質である、アポリポプロテインB-100(アポB-100)の生合成後の調節的分解に関わると考えられるタンパク質ER-60の活性調節機構を解析した。ER-60は小胞体内腔では分子シャペロンカルネキシンとの相互作用によりその機能が調節されている。平成13年度に明らかにしたER-60の4個のドメインa,b,b´,a´のうち、b以外のドメインは単独でフォールディングするが、bは単独ではフォールディングせずフォールディングとその維持にaとb´が必要であることを明らかにした。また、カルネキシンとの結合にはb´ドメインが必須であるがb´a´の結合能は野生型ER-60及びabb´に比して低く、b及び´部分が特にカルネキシンとの結合に重要であると考えられる。一方、アポB-100とER-60複合体に結合するBiPについて解析を行い、BiPはER-60との結合によりER-60の酵素活性を効率化することを見出した。ダイズタンパク質に肝臓でのアポ-B100の合成抑制効果があるが、ダイズタンパク質のうち11Sにカルネキシン、カルレチキュリン、GRP94及びER-60の転写抑制効果があることを見出した。
|