研究概要 |
第6次改定日本人の栄養所要量ではビタミンC(アスコルビン酸)の所要量が成人一日あたり100mgへと増加した。ビタミンCの摂取量を増加させることによってガン、心臓血管疾患、白内障などの多くの生活習慣病を予防できると考えられているが、これらを証明する基礎データがほとんどない。とくに投与量を増加させた場合に体内にどのような変化を生じるか遺伝子レベルでほとんど明らかにされていない。そこでアスコルビン酸を合成できないODSラット20匹を4群に分け、2群はタバコの煙を吸わせ、他方は吸わせなかった。タバコを吸わせた2群の内一方は毎日40mgのビタミンCを与え、他の群は4mgを与えた。タバコを吸わせなかった2群も同様とした。25日後、ラットを屠殺し、肝臓、肺臓、を取り出しmRNAを調製し、逆転写反応によりcDNAを調整した。タバコの煙で誘導されてくることの明らかなチトクロームP4501 A1遺伝子のmRNAの量を測定したところタバコの煙にさらされたラットでこれらのmRNAは上昇したが,アスコルビン酸大量投与群でmRNA量は減少した。またCuZnSOD、MnSOD、ECSOD、グルタチオンパーオキシダーゼ、G6PDHやカタラーゼについて調べたところアスコルビン酸大量摂取でこれらの遺伝子の発現に差が出ていた。アスコルビン酸再生酵素であるDHAレダクターゼのmRNA量はアスコルビン酸大最投与により減少し,PDIでも同様の結果であった。転写因子OCT-1は4群で変化がほとんど無かったが,転写因子C/EBPαのmRNA量はアスコルビン酸大量投与群で有意に減少した。そこで他にもビタミンC投与量の違いにより発現に差のある遺伝子を発見するためにディファレンシャルディスプレー法により検討した所、27遺伝子が見つかった。これらの遺伝子についてRT-PCR法と競合RT-PCR法によりさらに遺伝子発現に差が見られるかを確認した所、プロテイナーゼインヒビターα-1-IIIとCYP1A2の発現がビタミンC投与量の違いにより差が見られた.
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