研究課題/領域番号 |
13660133
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
湯浅 勲 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 教授 (50094488)
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研究分担者 |
小島 明子 大阪市立大学, 大学院・生活科学研究科, 講師 (90295709)
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キーワード | 緑茶抽出物 / 茶ポリフェノール / アポトーシス / 細胞内シグナル伝達 / グルタチオン / 細胞周期 / カスパーゼ / Rbタンパク |
研究概要 |
細胞は様々な細胞増殖因子などの外界刺激を受けて増殖する。この増殖開始には、新たなmRNAの合成、すなわち転写因子の活性化を伴う新たな遺伝子の発現が必須であり、この発現は細胞膜上に存在する細胞増殖因子受容体からのシグナルの伝達を介して行われる。本研究ではなぜ茶がガン細胞に特異的に作用し細胞死を起こさせるかを明らかにするために茶成分が細胞内シグナル伝達経路のどの段階に作用するか検討した。 我々はすでに緑茶抽出物とその主成分である茶ポリフェノールのうち、エピガロカテキンがエールリッヒ腹水ガン細胞の細胞生存率を有意に減少させアポトーシスをおこさせること、またその際、細胞内SH基であるグルタチオンとタンパクSH基を減少させることをすでに報告した。そこで細胞のアポトーシス誘導メカニズムについて検討するために、細胞内シグナル伝達、特にMAPキナーゼとカスパーゼカスケードにおよぼす影響について調べた。その結果緑茶抽出物はMAPキナーゼ活性を促進させることを明らかにした。また細胞死と直接に関係しているカスパーゼ活性が緑茶抽出物により増加することも明らかにした。さらにカスパーゼ活性の増加に先だって、カスパーゼの活性化に関与するチトクロームCのミトコンドリアからの遊離を緑茶抽出物が促進することを明らかにした。次に、細胞周期およびその調節因子であるRetinoblastoma(RB)タンパクのリン酸化に及ぼす影響をみたところ、緑茶抽出物はガン細胞のG1期からS期への移行を抑制すること、またその際、リン酸化Rbタンパクを減少させること、さらにこの変化がグルタチオンの先駆体であるN-アセチルシステインの添加により回復することを明らかにした。 以上の結果よりお茶はガン細胞の細胞内グルタチオンを特異的に減少させることによりガン細胞の細胞死をひきおこしたことが示唆された。今後さらにこの点について確認したい。
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