研究課題/領域番号 |
13660145
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
山田 容三 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (00166745)
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研究分担者 |
近藤 稔 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (80153732)
大浦 由美 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助手 (80252279)
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キーワード | 心拍RR間隔変動 / フラクタル次元 / レクリェーション効果 / 森林内の音 / 周波数分析 / リラックス効果 / f分の1のゆらぎ / 視覚情報 |
研究概要 |
本研究は、現場での計測が容易な心拍RR間隔変動に着目し、リラックス状態でそのフラクタル次元が1に近づく特性を利用し、森林のレクリェーション効果による人間の生理的反応の数値化を試みることを目的とする。本研究では、森林レクリェーション効果の内、温湿度あるいは香りの要因とともに大きな生理的影響を人間に与えているが、いまだに生理反応との関係が十分に明らかにされていない森林内の音の特性に焦点を当てる。本年度は、森林内の音について周波数分析によりその特性を明らかにするとともに、構成される周波数と心拍RR間隔変動のフラクタル次元の関係を分析することにより、心地よさやリラックス効果をもたらす周波数帯の特定を試みた。 まず、MDウォークマンとマイクロホンを用いて各地の森林内の音を録音し、FFTアナライザーを用いてその周波数分析を行った。収録した森林内の音は、長野県蓼科高原の小川の滝の音と岐阜県明宝村のせせらぎの音の2種類であり、これらの周波数分析を行った結果、滝の音はほぼホワイトノイズに近いものであり、せせらぎの音にはf分の1のゆらぎが観測された。 次に、これら2種類の森林内の音を5名の被験者に暴露し、また、視覚情報として音だけの場合、森林内の音の録音時に同時にビデオ録画した風景を被験者に見せる場合の2種類の条件を設定し、合わせて4種類の暴露実験を行った。暴露試験中の被験者の心拍変化を、心拍記録装置(ポーラー・バンテージNV)で計測し、心拍RR間隔変動のフラクタル次元解析を行った。その結果、滝の音だけの場合は不快なイメージを持っていた被験者が、滝の風景を見せることにより5人中3名の被験者にリラックス効果が確認できた。また、せせらぎの音には、映像の有無に関係なくほぼ全員が快適なイメージを持ち、滝の音よりもよりリラックス効果のあることが明らかになった。
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