研究概要 |
森林浴発祥の地である赤沢自然休養林を対象として,森林レクリエーション管理運営・利用の実態調査を行った。その結果,80年代後半より利用客数は増加し,現在では年間約10万人が訪れている。管理運営は地元自治体主体で行われているが,施設の老朽化や専門職員の高齢化等の問題があり,効率的な施設整備や人材育成が必要となっている。 落葉広葉樹二次林内および無響室で音の垂直伝播特性を調べた。樹冠の葉の影響により,波長が葉サイズ(長径)のおよそ3〜4倍より短い音は過剰減衰し,逆にその波長から葉の長径の10倍程度までの波長の音はマイナスの挿入損失が発生する傾向があった。鉛直上方向では葉量による減衰効果は大きいが,鉛直下方向では地表面の反射波による音のこもりによりそれほど減衰は見られない。 森林が発する音として、広葉樹7種,針葉樹3種を対象に自然風,人工風,強制振動によって発生したざわめき音を周波数分析した結果,広葉樹の発するざわめき音は5kHzを中心とした高い周波数成分からなり,f分の1ゆらぎの性質を有するのに対し,針葉樹のざわめき音は1kHzを中心とした比較的低い周波数成分で,高周波成分の乏しい音であることがわかった。 森林内の経常的な音として、滝、小川、渓流の3種類について30名の被験者に音のみと映像付きの暴露試験を行った。SD法による心理的印象を因子分析した結果、音に対する好みの因子と音自体の性質の因子により、渓流と小川の映像付きが良い評価を得たのに対して、滝の音のみは悪い評価となった。一方、心拍RR間隔変動の周波数分析により生理的反応を評価した結果、フラクタル次元は、音のみの場合で滝、渓流、小川の順に減少しており、映像付きでは小川、渓流、滝の順に減少した。また、リラックス効果を示すとされている高周波成分の比率もフラクタル次元と同様の傾向を示した。しかし、これらには暴露順番、性別、個人の音に対する好みによる変動が見られた。
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