中国の半乾燥地に生育するクロバナカズラの1.無菌増殖法、2.再分化系の確立、3.遺伝子組換え法の確立について検討した。 その結果、無菌培養法については、実生由来のシュートの腋芽を用いて増殖することが可能であった。腋芽を用いた増殖では、伸長したシュートの成長速度が速く、3ヶ月で多量のクローン苗を準備することができた。 次に、再分化系については、実生由来の子葉、下胚軸から再分化することが確認された。さらに、クローン化したシュートの茎軸と葉を用いて再分化実験を行ったところ、MS培地を基本培地としNAAとIBAの2種類のホルモンを添加することで再分化が可能であることが確認された。 また、遺伝子組換えにおいては、アグロバクテリウム法によりGFP遺伝子をマーカーとして導入試験を実施した。その結果、平均70%の確率で遺伝子組換えが起こっていることが確かめられた。遺伝子組換えの生じた部分は次第にカルス化し、選抜培地上で成長が確認された。これらのカルスにはGFP遺伝子による蛍光が認められたが、個体により発光程度に差があり、遺伝子の導入部位との関係が影響していると考えられる。約2ヶ月の培養の結果、組換えの起こったカルスよりGPF遺伝子の蛍光を発する芽の再生が認められた。現在のところこの芽の伸長量は小さいが、順調に生育しており、遺伝子組換え個体として再生する可能性が高い。 現在、GFP遺伝子の発現部位の特定と遺伝子導入場所との関係について研究を行っている。
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