研究課題/領域番号 |
13660155
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
関野 登 岩手大学, 農学部, 助教授 (30171341)
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研究分担者 |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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キーワード | Iビーム / フランジ / ウェブ / 単板スティック / MDF / 熱板プレス / 曲げ性能 / 寸法安定性 |
研究概要 |
本研究では、原料を製材工場や単板工場などの端材や建築解体材、あるいは割り箸などの生活廃材とする、いわゆるゼロ・エミッションを目指した木質複合梁(Iビーム)の開発に取り組む。Iビームは断面を力学的に有利なI型とした組立て梁の一種であり、上下の部材であるフランジを、ウェブと呼ばれる面材と接合して作られる。木質Iビームの場合、フランジには単板積層材が、ウェブにはパーティクルボード(OSBが多い)が主として用いられ、2種類の接着製品を二次接着する製造法となっている。本研究では単板端材などから得られるスティック状原料を用いて、フランジをプレスにより熱圧成形し、フランジ成形と同時にウェブ材料との接着が完了する新たな製造技術を考案した。 初年度は従来の熱板プレスによりIビームを製造し、フランジ成形条件がIビームの強度物性および寸法安定性に及ぼす影響を調べた。用いたフランジ原料は平均密度0.45g/cm3のアカマツ単板から調製した断面3mm×6mmのスティックであり、ウェブは密度O.73g/cm3のMDF、接着剤はPF樹脂である。スティックへの接着剤塗布量、ウェブとフランジ間への接着剤塗布量、およびフランジ密度をそれぞれ3段階に変化させた結果、レジン使用量を抑えつつある程度の曲げ性能が発揮される条件は、フランジ密度0.7g/cm3、ステイックへの塗布量20g/m2、ウェブ・フランジ間塗布量50g/m2であることを見出した。 一方、吸脱水繰り返し試験によりフランジの寸法安定性を調べた結果、フランジ幅方向では24時間吸水後に10〜15%の厚さ膨張を示した。寸法安定性はフランジ断面の不均一な密度分布に依存したが、特にウェブとの接着面付近でのフランジ圧密不足は接着強度の耐水性低下の原因にもなった。これは熱板プレスの宿命であり、フランジ断面に均一な密度分布を形成するには水蒸気噴射プレスの適用が不可欠と判断された。そこで現在、熱板プレス用のIビーム成形金型を水蒸気噴射プレス用に改造しており、次年度は水蒸気噴射プレスで製造したIビームの諸性能を本年度の結果と比較検討する予定である。
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