研究課題/領域番号 |
13660159
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
林産学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
大政 正武 国立大学法人信州大学, 農学部, 教授 (60281036)
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研究分担者 |
山田 明義 国立大学法人信州大学, 農学部, 助教授 (10324237)
廣田 満 国立大学法人信州大学, 農学部, 教授 (90199133)
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研究期間 (年度) |
2001 – 2003
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キーワード | 菌根菌 / トリコデルマ / 菌間相互作用 / 寒天培地 / 培養条件 / 糖条件 / 窒素条件 / トリコデルマ抑制 |
研究概要 |
外生菌根菌のマツタケ、ホンシメジ、ハツタケ、イグチ類などは優秀な食用菌であるが、一方、イグチ類、ショウロなどは森林の造成に役立ち、その方面での利用が望まれており、林地への菌根菌の増殖が必要である。人工培養を用いて林地への菌根菌の増殖を図る場合、土壌生息性の菌生菌による被害の軽減が重要であり、そのため以下の点に付き検討して各項のような成果を得た。 菌根菌にトリコデルマを接種した際の相互作用を主に寒天培地を用いて、菌根菌とトリコデルマの相互作用を検討した。菌根菌を予め培養しておき、それと対峙培養するようにトリコデルマを接種する方法と、菌根菌糸体上に接種する方法の二つの方法を用いた。その結果、 1)菌根菌を9種、14株、トリコデルマを2菌株用いて実験した。 2)用いたトリコデルマに適した高温、高湿条件であったため、ほとんどの場合、最終的にはトリコデルマが蔓延した。しかし、数組合せにおいて菌根菌がトリコデルマの伸長を完全に抑えた。 3)対峙培養ではトリコデルマの胞子発芽の抑制は全く見られなかったが、その後の菌糸の生長を抑制し、菌根菌の種類や菌株により、抑制の程度に差が合った。 4)菌糸体上の接種では、トリコデルマの胞子発芽の抑制と菌糸伸長の抑制が見られた。前者が特に顕著で、菌種や菌株による差が明らかに見られた。 5)相互作用の温度が低い程、トリコデルマの蔓延に時間がかかった。 6)菌根菌とトリコデルマの相互作用に対しては、培地の種類の影響、特に、培地のCとNの影響が強く見られ、これらの濃度の組合せにより、反応は大きく異なった。 7)培地の水分の影響も明らかに見られた。 8)スプリットプレートによる試験も行ったが、3菌株の菌根菌ではトリコデルマによる侵害が顕著に見られた。1菌株では高糖濃度、低糖濃度どちらの条件でも菌根菌が抵抗性を示した。 9)褐色腐朽菌、オオウズラタケでは一電子酸化物質の発生を検出したが、菌根菌では菌の生長が遅く、実験系を設定するに至らなかった。 10)菌根を形成させたアカマツやクロマツは良い生長を示した。宿主菌根系にトリコデルマを接種すると、一部ハルティヒネットや菌套の見られない組合せもあった。 という、結果が得られた。これらの結果から、培養条件を検討することにより、菌根菌がトリコデルマを抑える条件が得られると考えられる。
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