研究概要 |
エビ、カニ類の性分化モデルの一端を構築するためにオカダンゴムシの造雄腺ホルモン遺伝子の塩基配列情報を利用して先ず、オニテナガエビの造雄腺から造雄腺ホルモン遺伝子を抽出することを試みた。そのために、オカダンゴムシの造雄腺を摘出し、そこからTotal RNAを抽出した。このRNAを鋳型に既知のプライマーを用いてRT-PCRを行い、遺伝子を得た。この遺伝子をシークェンスしてオカダンゴムシの造雄腺ホルモン遺伝子であることを確認した。 次に、オニテナガエビの造雄腺を取り出し、そこから同様にしてTotal RNAを抽出、特殊なプライマーを用いてPCRによりcDNAを合成した。オカダンゴムシの造雄腺ホルモン遺伝子をプローブとしてこのcDNAから相同性を有する遺伝子のスクリーニングを行ったところ完全長ではないが造雄腺ホルモン遺伝子を得ることが出来た。その塩基配列は極めてオカダンゴムシの造雄腺ホルモン遺伝子の配列と似ており、281塩基中1塩基の違いしかみられなかった。 現在のところ、まだ完全長の造雄腺ホルモン遺伝子を取り出していないため、さらにプライマーを合成し直してオニテナガエビのRNAを鋳型に5'-RACE,3'-RACEを行い完全長のオニテナガエビの造雄腺ホルモン遺伝子を取り出す予定である。また、完全長の造雄腺ホルモン遺伝子の塩基配列を決定する次第、in situ hybridizationで造雄腺の形成過程を追跡する。
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