研究概要 |
平成13年度では,各月1回(2〜3日),東海大学所属の北斗(20トン)を用い,駿河湾内の6定点で魚類プランクトン調査を実施した.採集層は表層,100→10m層,200→100m層,350→200m層である.表層では1.3×1.2mの角型ネットを水平曳きし,他の3層では口径1.3mのリングネットを斜め曳きした.網目の大きさは0.53mmである. 本年度の調査で,ソコダラ科の卵については2タイプ,仔魚については3タイプが出現した.卵の1タイプについて孵化実験を行った結果,この発育は仔魚の最小個体へ連続し,1タイプではあるが,卵内発生から体長19mmまでの発育が明らかになった.その結果を2001年日本魚類学会でポスター発表した.内容は以下のとおりである. ソコダラ科卵について,水温12℃で恒温飼育し,ふ化させた。卵は卵径1.17〜1.31mm,黄土色の油球1個(径0.28〜0.33mm)を有し,卵膜表面にはハニカム状構造があった。胚体尾部遊離後では,胚体背面と卵黄には黒色素胞と黄色素胞が,油球には黒色素胞のみが出現した。ふ化後5日目には(体長3.0mm),黒色素胞集合が体尾部に3ケ所認められた。2001年6月までに採集された仔魚は計43個体(体長2.8〜19mm)であった。この最小仔魚の黒色素胞配列は卵からふ化させた仔魚と同様で,その後,発育にともない体尾部の黒色素胞は筋肉内へ埋没した。卵から最大仔魚まで発育が連続すること,そして鰓条骨数6,第1背鰭条数12,腹鰭条数7,および腹椎数12によって,これらはトウジン属の1種(ヤリヒゲなど)あるいはホカケダラ属のヘリダラと考えられた。
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