1.スルメイカ肝臓キチナーゼアイソザイムの精製:スルメイカ肝臓より素酵素を抽出し、硫安分画、キチンアフィニティーカラム、他各種カラムクロマトグラフィーを用いてキチナーゼアイソザイムを抽出・分離・精製した。精製酵素の分子量は42kDa、等電点は9.2であった。 2.キチナーゼの基質分解能および分解生成物の測定・分析:キチンオリゴ糖を用いて精製キチナーゼの基質分解様式、さらに結晶性および非結晶性キチンを基質とした分解能を測定した。 分解生成物の主成分は2糖および3糖である事が明かとなった。 3.キチナーゼのN-末端アミノ酸配列の決定:両酵素のN末端アミノ酸配列は38kDaキチナーゼではYLLSXYFTNWSQYRPGAGKYFPQNIまた、42kDaキチナーゼではEYRKVXYYTNWSQYREVPAKFFPENで、両酵素のN末端アミノ酸配列は異なったが、他種との相同性は認められた。 4.キチナーゼの構造:スルメイカ肝臓よりTotal RNAを抽出し、逆転写酵素を用いてmRNAよりcDNAを合成した。PCRを行い、約350bpの増幅断片を得た。この断片をサブクローニングし、塩基配列を解析して126アミノ酸配列を演繹した。これらの結果より、スルメイカ肝臓キチナーゼはfamily 18キチナーゼであることが判明した。 5.スルメイカ肝臓β-N-アセチルヘキソサミニダーゼ:硫安沈殿粗酵素の最適pHは4.0で、最適温度は60-70℃であった。また、pH4.5、10分間の熱処理では60℃まで安定であった。NaCl(0-1M)により、活性に影響を受けないことが判明した。 6.スルメイカ肝臓酵素を用いたN-アセチルグルコサミンの調製:スルメイカ肝臓硫安分画酵素を用いてコロイダルキチンを分解し、分解生成物をHPLCで分析したところ、N-アセチルグルコサミンが生成することが判明した。
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