研究概要 |
大豆,小麦の国内市場おける今後の見通しを得るために,稲転作の動向を把握した.2015年における米の需給均衡を達成するために必要な作付け面積と本地水田面積との差から,70〜80万ヘクタールが転作に回ると予測した.このうち仮に40パーセントが小麦,大豆生産に供されるとしよう.畑作地帯においては合理的輪作体系の観点から,小麦25,大豆5パーセントが作付け面積を加えると,大豆,小麦生産の潜在的供給力は,おおよそ40万ヘクタールとなろう.これらが,安定的生産として行われるためには,それを支える生産組織が現在では不可欠である.すなわち,府県の稲作地帯では,稲,麦,大豆の輪作体系(可能な地域では,ブロック・ローティション)の確立とそれを支える組織である.また,これを前提とした収穫,乾燥,調整,保管のシステムの構築は,流通面における他地域との差別化,ロットの確保,在庫調整機能を高めるうえで重要である. この例として,東北のF市,Y町,北海道のO町を調査した.F市,Y町では,2年3作のブロック・ローティションを実施している,とくにF市では,大豆の流通施設も建設して安定的生産・流通システムの条件は整いつつあるけれども,品質面に問題があり,実需者の品質要求に答えるためには,品種,栽培技術,マーケティング戦略の面でなお検討の余地がある.O町では小麦の過作を是正するために,大幅な大豆作導入を図った.これまでになかった低温貯蔵施設はその目玉である.これによって,年間をとおして品質のよい大豆の供給が可能である.また,大豆作を組織化して,コンバイン収穫を広域的に採用したことも特徴である.畑作地帯のこのシステムの評価については来年度以降の課題である.小麦については春播き小麦,秋播き小麦の新品種調査と,実需者の道産小麦に対する意向調査を行った.
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