本年度は、初年度として農業的資源環境管理の前提となる食料需給予測研究のレビューを行うとともに中国の米産業とトウモロコシ産業、ミャンマーの米産業を対象に、供給関数と需要関数の推計、これらを使った将来の需給予測を行った。まずこれまでの食料需給予測研究のレビューにおいては、これまで一般に需要予測の精度は比較的高かったのに対して、供給予測の方は、技術進歩や生産立地の変化の見通し等が難しく、その予測精度が低かったことを確認した。供給予測の精度を向上させるためには、技術進歩の動向を的確に把握するとともに地域ごとの生産の特性を把握することが必要である。 中国、ミャンマーを対象とした地域ごとの供給関数の推計においては、平坦地が多く、地力が高く、灌漑条件が整った優良地の多い地域では供給価格弾力性が高いのに対して、土地条件の悪い地域の供給価格弾力性は低く、価格反応が弱いことが確認された。需給予測においては、中国の米については東北部の作付拡大を背景に米需給の緩和が見込まれ、中国のトウモロコシについては堅調な飼料需要の増加を背景に輸入の増加が見込まれた。ミャンマーの米については、最近の米単収の伸び悩みが今後も続けば需給の逼迫化により2010年ごろには輸入が必要になる可能性もあることが予測された。
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