食品廃棄物の資源化をバイオマス用途の階層性に照らして、本年度は階層性の最高位に位置する飼料化と最下位に位置するエネルギー化を取り上げ、それぞれ事例分析、情報収集をおこなった。 食品廃棄物の飼料化については、まず食品廃棄物の発生実態を統計および各種報告書によって整理した。そのうえで養豚に焦点を据えて東海、関東地方を対象に、残飯、食品加工残渣の利用状況を把握し、残飯養豚とバイプロ養豚(食品加工副産物利用)の所在を確認した。そして確認された養豚経営を事例として残飯・残渣の収集範囲、取引形態、取引価格などを調査した。その結果、残飯養豚では残飯の収集範囲は限られ引取費用と収集に要する運賃と労賃が均衡する水準となっていることがわかった。バイプロ養豚については食品加工残渣を廃棄物ではなく飼料原料として購入していることが多く、購入価格も一部に上昇現象もみられ、収集範囲も広く遠隔地まで及んでいることがわかった。いずれの事例においても飼料費の低減効果が確認された。収集された情報をもとに、食品残渣の飼料利用に関する空間モデル構築を検討している。また、食品廃棄物の飼料化においては肉質への影響が問題となるが、この点に関して全国の飼養試験報告をサーベイし、約3割程度までの混合率であれば肉質には影響しないということが示された。 エネルギー化については、ドイツにおける農業用のバイオガスプラントに関する情報を収集し、プラントの増加実態と増加要因について整理した。さらに、畜産経営におけるプラント導入について、売電価格と混合発酵の2側面から収益性を分析し、その経営的メリットを明らかにした。また、電熱併給からバイオガスの直接利用へというエネルギー利用に関わる技術開発動向が確認された。
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