有機性廃棄物の資源化についてバイオガス化に重点をおいて調査研究をおこなった。具体的には、畜産分野でのバイオガスプラントに焦点を据えてその導入状況について関係機関から情報を収集しその実態を整理した。さらに、自治体が導入する集中型プラントと畜産経営が個々に導入する個別型プラントの実態調査をおこない、基礎的データを収集した。集中型では地域で大規模集中型のプラントを導入することでスケールメリットが追求できる反面、家畜糞尿や食品残渣の収集のコストが増大する点を実態的に観察した。また、嫌気発酵後の消化液の扱いが問題となり、液肥として利用する耕地が不足する場合は、浄化処理に膨大なコストが必要となり、調査事例ではランニングコストの約半分がそれに割かれていることが明らかとなった。個別型では一般的にスケールメリットを追求できない不利性が指摘されるが、経営内のエネルギー自給に大きな意義が見出せることが明らかとなり、悪臭対策にも効果があり、液肥の積極的利用のメリットが確認された。さらに、国際比較としてドイツにおけるバイオガスプラントとの比較も行い、売電価格条件の違い、有機性廃棄物に関する法制度的違い、有機性廃棄物の利用の違いを整理した。 食品残渣の飼料化についても昨年度に引き続き先進事例の動向を把握し、問題点を整理した。そこでは量的・質的に安定しない食品残渣物であっても、多様な残渣を広く収集することによって、量的・質的に安定したものに収斂することが確認され、飼料化の地域的システム化の意義を示すことができた。また、安全性の観点から食品残渣の飼料化に関する諸規制について内外の法制度を整理した。
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