有機性廃棄物の資源化において収集運搬がネックのひとつであることを整理し、バイオガス化と飼料化の事例を対象に実態調査を行った。バイオガス化については、畜産分野において導入されているプラントを対象とし、飼料化については主として養豚を対象とした。 バイオガス化については、集中型である場合には個別型に比べて家畜糞尿の運搬が間題となってくると考えられている。京都府八木町の集中型プラントの場合は、畜産経営が個別に搬入する形になっており、毎日多いところでは複数回の搬入作業が行われていた。この労働負担についてプラント導入前後で比較すると、プラント導入後の方がむしろ軽減されていることが明らかとなった。同町では以前は山中の堆肥場に運送するか、そうでなければ分散した圃場に搬入するため、輸送圧力が高かったといえた。 飼料化については、利用する食品残さに規模階層による違いがあることが明らかとなった。大規模層ほど食品加工副産物の利用が多くなり、小規模な家族経営では都市厨芥が多いことが指摘できた。また、食品残さの種類によって収集運搬の頻度が異なり、食品加工副産物は10日から1ヶ月に1回程の割合であるが、調理屑や残飯については毎日の収集となっていた。従って、調理屑、残飯を利用する小規模養豚ほど収集運搬の作業が過重となる実態が浮き彫りとなった。さらに、収集先が安定せずに経営間で収集ルートが錯綜しているケースも把握された。 総合的考察として、バイオガス化と飼料化の結合をとりあげ、様々な利点があることを整理した。両者を導入している養豚経営の事例では、有機性廃棄物の取引を優位にし、収集運搬を効率化し、さらにバイオガスのエネルギーを飼料化に利用して光熱費を低減していることが確認された。地域的に両者を結合させたシステムを構築すれば、バイオマスのカスケード利用がなされ、収集運搬も効率化できることを展望した。
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