本研究は、家畜糞尿と食品廃棄物の資源化についてバイオガス化と飼料化をとりあげ、そのリサイクルの実態を把握するとともに問題点を整理し、より効率的な有機性廃棄物の資源化システムを展望することを目的としたものである。 バイオガス化については、町村牧場、八木町などのプラントを事例としてとりあげ、その稼働実態を分析した。これらプラントでは、エネルギー自給に大きな意味を見いだせるが、エネルギー販売による利潤獲得は期待できない状態にあった。食品残さの飼料化については、東海地方の養豚を中心に実態調査を行い、飼料費低減の効果を確認し、損益分岐点図による経営的意義の解釈を試みた。 さらに実態調査から以下の問題点が浮き彫りになった。1)廃棄物および製品の収集運搬のルートが錯綜しており非効率になっていること、2)有機性廃棄物についての情報が乏しく偏りがあること、3)許認可を得ていない取引が存在すること、4)利用する有機性廃棄物に規模間格差が生じていること、5)一部の廃棄物に獲得競争が生じていること、6)バイオガスプラントでは放出される未利用エネルギーが少なくなく、他方飼料化のプラントにおいてはエネルギー需要が大きいこと、である。 これらの問題点を踏まえ、バイオガス化と飼料化を結合させて地域的な有機性廃棄物のカスケード利用システムを、ドイツや国内の先駆的事例をもとに提起し、規模の経済と範囲の経済から効率的で、ロジスティクスにおいても無駄のない地域マネジメントシステムの構築を展望した。
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