1.情報公開に関する理論的研究 農業生産に関する情報には、情報の非対称性が生まれやすいため、システム情報を補完する取り組みが重要である。システム情報を陳腐化させないためには、情報公開システムをひとつの地域連携型のネットワークモデルとして定着させることが必要であり、同時に「生産物と公開された表示情報との乖離を克服するための、オフラインのサブシステム構築の重要性」を事例研究によって示した。 2.環境保全型農業の実態調査 有機農業を中心とする実態調査によって、環境保全型農業は、生産のあり方自体に社会の求める価値があることを明らかにし、その生産物は、生産情報の公開によって生産方法と生産物のコンテンツが保証される、つまり、情報とその生産物が一致することで「安心」の認知を受けることを裏付けた。 3.情報公開システムのモデル検討 実証モデルの検討によって、環境保全型農業における生産情報の公開システムには、地域内の生産者の連携によって、情報と生産物の一致を保証するためのサブシステムが重要であり、事業者間の産品の相互利用による保証システムが、第三者による認証を生産者相互間で代替する可能性を示した。農業生産という多様な情報を有する活動を伝えるメディアとして、インターネットの適性は高いが、情報が伝えられた後でその発信者および受信者にどのような行動の変化をもたらすかというインタラクティブな機能が最も重要であるという結論を得られた。
|