本研究では、地場の農産物を利用した給食の実績を示すために「地場産自給率」という概念で、調査票を作成し、長崎県内および全国各地の調査をおこなった。 この調査結果への反響は大きく、自治体、マスコミなどから多くの資料請求の要望があった。 さらに、本調査方法も注目を浴び、本研究で実施した給食の地場産自給率の調査手法は、各県レベルでの地産地消をすすめるにあたっての、重要なスキルとさえなっている。判明しているだけでも、佐賀県、熊本県、山口県はこの手法を用いて給食の地場産自給率調査をおこなっている。 こうして集められた自給率結果を基に、先進各地の事例を分析し、その成功要因と課題も明らかにした。 さらに、地場産給食をきっかけに、食農教育に熱心に取り組んだところでは、児童が「嫌いな野菜」も食べるようになったことを、アンケートを実施して明らかにした。 また、長崎県、福岡県大木町で詳細な調査をおこなった結果、地場の農産物を給食で利用するための、政策的な手法も確立した。 (1)自給率調査 (2)保護者アンケート (3)食材の量、価格、時期の調査 (4)生産可能性、旬の一覧 (5)既存の流通の調査、新しい流通と利害の調整の提示 以上の5段階の綿密な調査を農政の課題としておこなうことで、地場産給食が容易に展開できることを、本研究によって立証した。
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