日本では、有機畜産はほとんど実施されていないが、世界的な有機食品市場の形成とそれに伴うコーデックス有機畜産ガイドラインの採択を受けて、有機畜産への関心が高まりつつある。また、有機畜産実践の萌芽もわずかながらいくつかの場所で見られるようになってきた。そこで有機畜産の現状を把握するため、EU規則、コーデックスガイドライン、関連資料等収集を行った。 平行して日本国内各地で環境保全型農畜産業のヒアリング調査を実施した。内容については、農家個人で実践しているところ-茨城県八郷町の有機養鶏家、大阪府能勢町の有機農業実践家、JA単位で新地域振興計画の一環で実施しようとしている-長野県飯島町である。また、今後有機畜産への転換が可能な地域特に生態系保全や生物多様性保存の立場から計画を振興しつつある-長崎県対馬等-についても調査を実施した。 EUと日本を比較するため、ヨーロッパの最新の有機畜産物アグリフードシステムの状況についても検討を進めつつある。そのため、ヨーロッパ各地で調査を実施した。例えばイギリスでは、スーパーマーケットによるアグリフードチェーンの実態を分析し、かっ、大規模有機畜産経営については、EUの農業環境政策の1つの柱である条件不利地域の有機農業に対する直接所得補償の現状をつぶさに調査することができた。
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