研究概要 |
沖縄県はその気候条件のために、他地域で栽培できない作物、或いは、栽培不能な時期にある作物を栽培できるという優位性を有しており、花卉や熱帯果樹は戦略的農産物として位置づけられている。しかし、沖縄農業は、その市場遠隔性と島嶼性による輸送の服装かと品質保持の困難性等のため、市場における有利販売や産地展開が十分に行えない状況にある。本研究の目的は、このように、気候条件上優位性を有しながらも、その地理的特性のために有利販売や産地展開が困難な沖縄県産農産物に関し、情報通信技術の高度利用を基盤としたマーケティング・システムの構築のための基本要件について検討し提言することである。 本年度は、過年度に実施した調査及び研究結果の整理、補足調査、研究取りまとめのための打合せを行った。なお、研究取りまとめの概要は以下のとおりである。(以下、ECはエレクトロニック・コマースの略称) 1.県内、国内、ギリシャにおける農産物ECの運用状況等の調査結果を次の4項目に整理した。 (1)EC化に伴い沖縄県のマンゴー生産者が享受可能と予想される経済的便益 (2)EC市場形成の鍵を握るクリティカル・マス獲得のための要件 (3)EC化の進展を阻害する要因 (4)IT化の促進を阻害する実務的要因への対処方策 2.一般消費者が,ウェブサイトでオンライシショッヒングを行う場合に,どのような項目を基準に,どのような意思決定を行い,購入するのか等は,まだ,明らかになってない。そこで,どのような感性で購入を決めるめかなどを,アンケート調査に基づくAHPを用いて考察した。 3.我が国では、情報機器や操作スキルの普及水準といったEC導入の前提条件は相対的に生産者サイドで脆弱である。そこで、沖縄県産農産物のEC化促進のための一手法として、トレーサビリティ・システムが有する可能性を研究取りまとめの範疇に包含し得るか否か検討するため、JAえひめが行っている「履歴ハッキリ愛媛みかん」の実運用状況などについて補足調査を行った。
|