本年度は、前年度の研究結果を基にして、中山間地域におけるPFIの研究を引き続き実施した。 具体的には、都市部で実施または計画されている事例及び中山間地域で実施または計画されている事例について文献調査を行った。特に重要と判断される事例については実地調査を行った。 さらには、PFIの考え方をイギリスから導入し、成果をあげている国を選択し、文献調査を行った。特に重要と判断される事例については実施調査を行った。選択した国はオーストラリアである。 本年度における研究成果としては、以下のことが挙げられる。 中山間地域におけるPFI活用する場合の問題点としては、次の4点が指摘できる。 (1)厳しい財政事情により、新規の公共事業を控えざるを得ない自治体が多い。(2)PFI事業により公共施設等の整備を行うために設定される債務負担行為は、その支出のうち施設整備費や用地取得費に相当するものは、公債費に準ずるものとして公債費負担比率に算入されることになっている。そのため、PFI導入によりVFMが見込まれたものとしても、既に公債費負担比率が高く、起債制限比率を超える自治体では事業の実施は困難である。(3)PFIに関する専門知識・人材の不足がしている。(4)PFIの手続きが複雑である。(5)PF1事業に対する補助金の交付基準が明確でない、などが示唆された。 また、公共サービスを民間が提供することに、中山間地域では都市部以上に地域住民に抵抗があると思われた。このため、中山間地域におけるPF1活用は、この地域住民の考え方自体の変化が必要である。
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