本研究課題は、廃棄物の中でも農業生産活動を起源とする廃棄物、流通段階と家庭消費あるいは外食から排出される廃棄物の種別の総量を、各種生産費調査や商業統計・家計調査等の既存の統計調査から、精度の高い推計を可能とする方法について調査研究した。 農業生産活動からの廃棄物ほ穀種作・園芸作や畜産等の種類ごとに、あるいは地域ごとにその構成内容や量に大きな相違があり、種類や量を正確に推計するのは困難であった。接近方法として重視したのは各生産費調査と各作働生産ステージ営農計画を一般化した「生産・飼養標準等」との関連性を分析し、それらを結合させることである。地域別あるいは作目・作型別に生産投入量、消耗量(率)から廃棄量(率)を推計することで、地域別・耕種・作型別の廃棄物総量の一次的な接近の方法を検討し、推計精度を高めるよう実態調査をもとに推計方法を検討した。家庭からの農業起源の廃棄物、特に一般廃棄物(その大部分は厨芥、包装容器等)の量的なあるいは質的な予測を可能とするために、現在公表・公刊されているいくつかの統計調査をもとに、家庭における農産物やいくつかの消費費目と廃棄物量との量的な関係や傾向を明らかにした。家計調査項目から廃棄物量を推計する方法として、一般廃棄物の排出量が家庭の消費行動のどのような消費項目と相関関係があるか、分別収集方法とどの程度の相関関係があるのか等々を明らかにした。 こうした調査研究から、農業を起源とする廃棄物の種類と種類別総量の正確な推定が可能となる。これらの生産-流通-消費活動と廃棄物の種類と量の経年的な推移傾向を明らかにすることで、農業の投入産出分析に加え廃棄までを分析することで、投入-産出-廃棄の一連の過程を廃棄側から逆推計する方法を検討し、農業生産活動における変化のベクトルを明らかにした。
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