研究概要 |
従来からの対象地域内8地点での湧水量観測,水質測定を継続して実施し,水文・水質データの蓄積を図った。一方,各種汚濁源の現地調査・資料収集から,それらの発生・排出過程を明らかにし,汚濁源別に窒素負荷排出量を算定した。とくに,主要な汚濁負荷源である畜産糞尿について,処理方法別に排出過程・排出量の推定を行った。それらより,流域内の窒素収支構造を明らかにするとともに,地下水窒素汚染過程の解明を図った。 以上のデータおよび分析結果をもとに,地下水水文モデルおよび地下水水質モデルの構築を進めた。地下水水文モデルとして,地下水涵養流出モデル(集中定数型),および分布型地下水涵養流動モデルのモデル構造,パラメタ値と適合度について検討を加え,分布型地下水涵養流動モデルの基本構造を完成させた。この結果の一部は農業土木学会論文集に掲載された。次に,これら両モデルを基礎構造として,それに水質過程を付加することによって地下水水質水文モデルの構築を図った。まず,タンクモデルを応用した集中型地下水涵養流出モデルに水質を付加したモデルの構成を考え,このモデルにより,地下水窒素濃度の変化傾向を表現する点において,ある程度妥当な結果を得た。しかし,集中型のモデルでは,やはり発生負荷の空間的分布に伴う地下水水質濃度の空間的分布を表現するには限界があり,次のステップとして,分布型地下水涵養流動モデルをベースとした分布型水質モデルの構築に向け,現在準備を進めている。 なお,流域内の窒素収支と地下水汚染過程の解明の成果,および集中型地下水水質モデルに関する成果は,現在それぞれ農業土木学会論文集に投稿中である。
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