研究概要 |
軟弱地盤の現場において計測される地盤の変形と間隙水圧を用い、圧密挙動の将来予測を行う手法の開発を目的としている.特に,本研究では,統計モデルを利用した圧密予測法の開発を主眼においている.今年度は,二次圧密挙動に関する考察を重点的に行った.第一に,3連式の連結型圧密試験装置を完成させた.これによって,高さ2cm,直径6cmの供試体が3つ直列に連結されることになる.各供試体の圧縮量と供試体底部における間隙水圧が計測される.実験材料としては,カオリンおよび笠岡海成粘土を使用した.載荷は段階載荷によって行われ,19.6→313.6kPaまで荷重増分比1:1で行われた.載荷時間は,一段階当たり,カオリンに関しては1d,海成粘土に対しては5dとした,試験の結果,各供試体の間隙比-鉛直有効応力曲線に異なった傾向が見られ,ひずみ速度依存性を確認することができた.即ち,圧密途中では,ひずみ速度の速い供試体ほど,有効応力の増加に対して,圧縮ひずみ量が少なくなる傾向が得られた.ただし,間隙水圧が消散した後は,ほぼ同一の圧縮ひずみ量となった.また,得られた時間一沈下曲線に逆解析を適用し,同定されたパラメータを用いて,圧密挙動のシミュレーションを行った.その結果,実測される間隙水圧の消散速度は,解析によるものよりかなり速いことが明らかとなった. 二次圧密挙動に対しては,弾性圧密理論に粘性項を加えるモデル化を行い,二次圧密開始時間を間隙比の収縮速度が限界値に達したときの時間と定義した.その結果,このモデル化によって実測の時間-沈下曲線を高精度で模擬できることが明らかとなった.また,数値解析モデルで,圧密途中の浸透流の局所性を考慮した解析を行った結果,時間一沈下挙動と時間一間隙水圧挙動のギャップを説明できることが分かった.
|