研究概要 |
(1)疎水化粘土内の水の構造解析 TDR法により測定した誘電緩和スペクトルを用いて,疎水化粘土内の水の構造を解析した。また,同時に界面分極についても解析し,疎水化が界面現象に及ぼす影響についても検討した。イオン交換法によって,Naイオン,NH_4イオン,テトラメチルアンモニウムイオンそれぞれで飽和したモンモリロナイト試料を作成した。それらの試料の1.5%(重量濃度)懸濁液の誘電緩和スペクトルを測定した。100MHz近傍で認められた結合水の回転運動に起因する緩和は、Naイオンで飽和した試料が最も大きく,NH_4イオンのそれは,約1/2,テトラメチルアンモニウムイオンのそれは約1割であった。誘電緩和スペクトルは,疎水性の評価に有効であることが明らかになった。界面分極についても,疎水化することによって,結合水に起因する緩和過程と同様に低下した。テトラメチルアンモニウム試料については,この緩和過程は検出されなかった。疎水基の相互作用が確認された。 (2)内分泌かく乱物質モデルの吸着量および吸着平衡についての検討 内分泌かく乱物質モデルとして4-エチルフェノールを用いて吸着実験を行い,親水性粘土と疎水性粘土を比較した。従来の知見では,内分泌かく乱物質の結合は疎水結合が主なるものであるとされてきたが,疎水化構造によっては,疎水化が吸着量の増大に寄与しないことが明らかになった。
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