有明海湾奥の佐賀県沖では昭和58年から平成25年までの30年間に干潟が850ヘクタール発達すると見込まれている。この地域に設置されている有明海西部の七浦干拓排水樋門前面の澪筋をモデルとして、澪筋維持手法の開発実験をおこなった。 1.矢板綱で施工した1000m^2のタンクの一部に浮体式ゲート(幅2m)を取り付け、満潮時に海水を貯留し、干潮時にゲートの固定ピンをはずして、海水を流出させ、この流体力で堆積底泥をフラッシュする実験をおこなう。澪断面の標高を測定することにより、フラッシュ効果を検証している。現在、タンクの面積及びゲートの開閉高さの変化によるフラッシュ効果の最適条件を模索している。 2.潮汐流及び波浪によって運搬される浮泥が澪筋に堆積する量を把握する。降雨が比較的少なく、背後地での農業用水の使用が安定している4月の2週間での堆積量が測定したところ、120mの澪において、最大堆積量は1mを越えることが明らかとなった。また澪筋での堆積が堆積前と堆積後では50%以上減少する。 3.有明粘土の自重圧密による含水比の減少と限界流速の把握を行う。有明粘土は自重圧密によって含水比が減少すると、粘着力が増加して限界流速(底泥が巻き上がる流速)が増大する。このことを量的に把握するため、現地の底泥を実験室で所定の含水比におけるベーン強度と限界流速を測定した。その結果、表面から10cm及び20cm深さにおける含水比、ベーン強度及び限界流速の経時変化を求めた。 4.現地における澪筋の含水比及びベーン強度(現地ベーン試験器による)の鉛直分布を測定した。
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