研究概要 |
現在のルーチン的な安定解析手法では,すべり面の設定並びに安定計算上の困難さから,地すべり移動ブロックを二次元問題として取り扱っている。すなわち,すべり移動方向にほぼ一致するすべり層厚が最大となる縦断面について解析することで,計算を単純化し,意図的に過大な対策を行い安全性を確保してきた。しかし,地表面形状,すべり面形状、地下水面形状等の三次元的な情報が無視されてしまい,地すべりの形状によっては二次元的な取り扱いが適当でない場合や,不適切な対策になってしまう場合がある。そのような地すべりでは,地すべりブロックを把握するための調査を十分に行い,三次元的に解析する必要がある。 本研究では,自動メッシュ作成を可能にした三次元安定解析プログラムを開発した。このプログラムでは,地すべり頭部・側部・末端部などに合わせてすべり面強度を設定でき,しかも複数の地すべりブロックを一度に計算できる。これにより,測量・調査・設計にわたって,CADデータを有効に利用でき,しかも,複雑な地すべりの三次元安定解析を迅速に実施することができるようになった。 また,実際地すべりに本解析プログラムを適用し,すべりブロック三次元情報,残留強度,破砕ピーク強度等の詳細な調査・測定試験結果を与えて,安定計算を行った。その結果,すべり面の平均強度定数,およびすべり面全体における残留強度と破砕ピーク強度の関与領域が明らかにされた。
|