研究概要 |
本研究により,冬季の寒冷な自然外気を利用して米を氷点下に貯蔵する技術を開発した。先ず,米の凍結温度と凍結障害を調べ,さらに氷点下に4年間米を貯蔵したときの米の品質を測定した。その結果,水分が17.8%以下の米は-80℃まで冷却しても凍結しないことを明らかにした。貯蔵中の低温は米の生命力を保ち,生理活性を押さえ,デンプンの変質を抑制するため,米の品質を新米と同様に保持することができた。 約1000tの籾を2基の実用サイロに貯蔵し,1月にサイロ下部から上部へ寒冷な外気を通風し籾を冷却した。サイロ全体の籾の温度は氷点下に低下し,超低温貯蔵(氷点下の温度における米の貯蔵)が実現した。サイロ中心部の籾の温度は7月下旬まで氷点下に保たれた。サイロに貯蔵された籾の品質は新米と同様な良い品質であった。冬季の寒冷外気を利用し米を氷点下に貯蔵する技術は,冷却装置や冷却のための電気エネルギーを必要としない,環境にやさしい貯蔵技術として確立された。本研究の結果,超低温貯蔵は寒冷地における新しい米の貯蔵技術として普及している。北海道では2003年末までに26カ所のカントリーエレベータが建設され,籾貯蔵能力は11万5千tとなった。
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