研究概要 |
最近、浸透圧の高い溶液に、野菜や果物を浸し、これらの脱水に利用する研究が注目されている。この浸透によって初期重量の半分まで脱水した例も報告されている.他の乾燥法と比較して、この浸透脱水法の特徴は野菜や果物の色や芳香成分に対して熱損傷が少なく、相変化を伴わずに水が除去されるので、エネルギ消費が少ないことである。果物や野菜の浸透脱水にはラクトース、シュークロスなどの糖類、デンプンやコーンシロップなどが使用され、蜂蜜、グリセリン、食塩、エチルオレイン酸なども試験されている。以上のような背景から、本研究では、干し椎茸の品質向上を目的に、椎茸の水分が多く、問題を多く孕んでいる乾燥の前段階に浸透溶液を利用する方法を採用して、脱水後に、遠赤外線ヒータによる乾燥を継続する実験を行った。 1.全域赤外放射体、遠赤外放射体、近赤外放射体などの放射特性の異なるもの、セラミックなどの構造材の異なるもの、塗装、溶射など表面処理法の異なったものなど、各種の赤外線放射体を準備した。 2.乾燥室内に試料を置き,遠赤外線を照射し、遠赤外線ヒータの表面温度,供給電力密度,ヒータの放射エネルギ分布,試料の放射エネルギの反射,吸収特性などの光学的物性値等との関係から,乾燥特性を解明した.乾燥条件として,遠赤外線ヒータの表面温度,入風の温湿度,風速、試料の大きさを変化させ,試料の品温,重量変化,初期および乾燥後の水分含量等を測定した。 3.乾燥前における浸透溶液の実験では塩分濃度15%が最もよい結果が得られた。
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