最近、浸透圧の高い溶液に、野菜や果物を浸し、乾燥の前処理の脱水に利用する研究が注目されている。昨年度に引き続き、椎茸を浸透圧の高い溶液に浸し、脱水作用を利用した乾燥の実験を行った。 浸透圧脱水された椎茸を従来からの乾燥方法である熱風を送る対流乾燥法、遠赤外線ヒータによる乾燥、遠赤外線ヒータに加えて、チャンバ内を真空にした、それぞれの場合について、その乾燥特性を明らかにした。 テキスチャーの測定は直径6mmのプローブからなる貫入試験器を試作し、材料力学的な数値より品質を評価した。さらに、各乾燥方法による場合のエネルギ消費の関係についても解析を行った。乾燥室内に試料を置き、遠赤外線を照射し、遠赤外線ヒータの表面温度、供給電力密度、ヒータの放射エネルギ分布、試料の放射エネルギの反射、吸収特性などの光学的物性値等との関係から、乾燥特性を解明した。乾燥条件として、遠赤外線ヒータの表面温度、入風の温湿度、風速、試料の大きさを変化させ、試料の品温、重量変化、初期および乾燥後の水分含量等を測定した。椎茸の品質については、昨年度購入した分光測色計(ミノルタCM-2600d)を用いて乾燥後の仕上がり具合を分光によって評価した。L^*a^*b^*値で品質を判定したところ、遠赤外線ヒータを用いて乾燥した椎茸は、従来の熱風乾燥法に比べ、a^*、b^*値がともに少ない、すなわち、黄色、赤の両成分が低いほうが品質が優れていることを見出した。
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